FreeBSD 3.3-RELEASE PC Card インストーラ ほそかわ たつみ 新井 利彦 http://www.jp.FreeBSD.org/PAO/ BSD-nomads team, Japan 目次 ---- 1. このフロッピーはなに? 2. PC Card の基礎 3. PAO インストールフロッピーの構成 3.1 PAO 対応カーネル (PAO_ALL カーネル) 3.2 インストーラ (/stand/syninstall) 3.3 PAO バイナリ配布ファイル (paobin) 3.4 PAO ソース配布ファイル (paosrc) 4. FreeBSD のインストール方法 4.1 DOS パーティションからインストールする場合 4.2 FTP や NFS サーバからインストールする場合 4.3 CD-ROM から FreeBSD を、DOS や FTP から PAO をインストール 4.4 WIDE-DHCP クライアントの設定 5. インストール終了後 ---- 1. このフロッピーはなに? == ====================== このインストーラのカーネルとフロッピーは FreeBSD PAO PC Card パッケー ジを含んでいます。このフロッピーを使用することで、さまざまな PC カード (イーサネット、ATAPI CDROM など) から FreeBSD をインストールすることが できます。このフロッピーは 3.3-RELEASE と PAO3-19991011 をベースとして います。したがって、サポートされているカードは PAO-19991011 によってサ ポートされているカードと同じです。詳しくは、 http://www.jp.FreeBSD.org/PAO/index.html#card をご覧下さい。 PAO は FreeBSD 上でモーバイルコンピューテイングをサポートするパッケー ジです。過去の PAO パッケージの一部分はすでにオリジナルの FreeBSD ソー スツリーに入っており、また今も一部のコードは統合を待っている状態です。 PAO のコードの一部分はまだよくレビューされておらず、また現状ではまだオ リジナルのソースに統合するには不適当ないくつかの実験的な (プレαレベル の) コードを含んでいますが、PAO は現在の FreeBSD の PC Card サポートに 比べてより便利であり、かつより多くのカードをサポートしています。 2. PC Card の基礎 == ============== このフロッピーを使用するには、最低でも PC Card アーキテクチャのいくつ かの基礎的な概念について知る必要があります。PC Card は多くの ISA デバ イスと同様、I/O ポート、IRQ、そして共有メモリを使用します。しかし、ア ドレスや IRQ レベルは PC Card コントローラ (あるいは PC Card ブリッジ) と呼ばれる特殊なハードウェアによって動的に割り振られます。 それぞれの PC Card スロットは、8 つのメモリウィンドウ、2 つの I/O ウィ ンドウ、そして 1 つの番号づけられていない IRQ を持っています。PC Card コントローラはこれらの資源を ISA、あるいは PCI 空間にマップします。こ のマッピングの機能が透過的にはたらくため、CPU は PC Card を通常の ISA デバイスのように使用することが可能です。 (All memory windows and I/O Window 1 are unused) +---------+ +------------+ / | |--------------------| |-----------/ ISA BUS | Modem | I/O Window 0 | PC Card | 3f8 - 3ff / | PC Card |--------------------| Controller |-----------/ | |<==================>| |<=========>/ +---------+ unnumbered IRQ +------------+ IRQ 3 / 図 1 モデムカードは ISA バス上のシリアルチップとしてマップされる これらのパラメータを決定するために、オペレーティングシステムはカード内 の EEPROM に記述された「CIS (Card Information Structure) タプルを使用 します。オペレーティングシステムはこの情報を PC Card コントローラを経 由して入手します。PC Card コントローラはこの目的のために 16 キロバイト の領域を必要とします (コントローラは EEPROM メモリをこのエリアにマップ します)。これらのデータは、"/stand/pccardc dumpcsis" とコマンドプロン プトから叩くことで読むことが可能です。以下に "/stand/pccardc dumpcsis" の出力サンプルを示します。 ----------------------------------------------------------------------- Tuple #6, code = 0x1b (Configuration entry), length = 16 000: e0 41 99 49 55 26 25 aa 60 f8 03 07 30 ff ff 28 Config index = 0x20(default) Interface byte = 0x41 (I/O) +RDY/-BSY active Vcc pwr: Nominal operating supply voltage: 5 x 1V Continuous supply current: 2 x 100mA Power down supply current: 2 x 10mA Card decodes 10 address lines, 8 Bit I/O only I/O address # 1: block start = 0x3f8 block length = 0x8 IRQ modes: Level IRQs: 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 Max twin cards = 0 Misc attr: (Audio-BVD2) (Power down supported) Tuple #7, code = 0x1b (Configuration entry), length = 7 000: 21 08 aa 60 f8 02 07 Config index = 0x21 Card decodes 10 address lines, 8 Bit I/O only I/O address # 1: block start = 0x2f8 block length = 0x8 ----------------------------------------------------------------------- fig.2 CIS タプルのサンプル (Megahertz XJ3288 の CIS の一部) このフロッピーはデフォルトでは 0xd0000-0xd3fff をこのスクラッチ領域と して使用します。しかし、もしあなたのハードウェアがこの領域を別の目的で 使用している場合は、このフロッピーの最初のメニューから他のアドレスを選 択することができます (0xd4000, 0xd8000, 0xdc000)。もしあなたのハードウェ アの詳しいスペックを良く知らないのであれば、オプションの値を選択せずに そのまま進み、何か問題が起きてから :-) オプションを試してみましょう。 0xd0000 はほとんどのラップトップハードウェアにおいて適切な値です。 このフロッピーには PC Card に関するもう一つのメニューがあります。この 二つめのメニューは、フリー IRQ プールに関する選択に使用されます。PC カー ドは他のデバイスに使用されてない IRQ を必要とします。オペレーティング システムはこの目的のため、フリー IRQ プールを管理する必要があります。 メニューからこのフリー IRQ プールを選択することができます。デフォルト は IRQ 10 と 11 です。ここで、いくつかのマシンでは IRQ 10 を占拠するサ ウンドカード (しかも非常に困ったことに、当然インストールフロッピーから は検出できない) を持っているということになる。このようなマシンを持って いる場合は、IRQ 10 をこの目的に使用することはできない。IRQ 5 と 11 が 良い代替手段であろうが、さらに IRQ 5 を占有しているデバイスがある場合 は IRQ 11 のみの使用とする必要があるだろう。 3. PAO インストールフロッピーの構成 == ================================ PAO3 for 3.x-RELEASE においては FreeBSD 3.x-RELEASE と同様インストール フロッピーが二枚組になりました。また、PAO boot.flp にカーネルパッチを詰め 込む方式はやめて、FreeBSD の標準配布ファイルと同じ形式で paobin, paosrc を 用意しました。 - boot.flp : PAO ブートフロッピー (2.88MB)、CD-ROM boot や LS120, ZIP などで使用します。(現状では LS120, ZIP は使用できないとの報告があります) - kern.flp : PAO カーネルフロッピー (1.44MB 一枚目) - mfsroot.flp : PAO MFS ルートフロッピー (1.44MB 二枚目)、普通の FDD を使うのであればこの二つを用意します。 - paobin : PAO バイナリ配布ファイル、PAO 対応のカーネル、 userland、man page などを含みます。 (install.sh, paobin.aa, paobin.ab, ...) - paosrc : PAO ソース配布ファイル、PAO で変更されたカーネルソー ス、PAO-FAQ や SUPPORTED.CARDS などのドキュメントを 含みます。カスタムカーネルを作るつもりなら、カーネ ルソース ssys を同時に選択してください。 (install.sh, paosrc.aa, paosrc.ab, ...) - paodist.tar : paobin, paosrc を tar でまとめたもの。 これらのファイルのマスターサイトは、 ftp://daemon.jp.FreeBSD.org/pub/FreeBSD-jp/PAO/flp/3.3-RELEASE/ です。ダウンロードは PAO ホームページ (http://www.jp.FreeBSD.org/PAO/) から行なえます。また、日本国内のミラーサイトについては、 http://www.jp.FreeBSD.org/mirror.html#ftp-jp をご覧ください。 3.1 PAO 対応カーネル (PAO_ALL カーネル) --- ----------------------------------- PAO 対応カーネルは PAO_ALL コンフィグレーションから作成され paobin に kernel.PAO として含まれます。インストールが正常に終了すればルートディレク トリにセーブされ、インストーラにより自動的に /kernel へとコピーされます。 しかし、paobin を追加インストールした場合は、この作業が行なわれず GENERIC カーネルのままとなります。この場合は以下のコマンドを入力してください。 # chflags noschg /kernel # mv /kernel /kernel.old # install -c -m 555 -o root -g wheel -fschg /kernel.PAO /kernel PAO_ALL カーネルは GENERIC カーネルでサポートされるデバイスに加え、PC Card をサポートするドライバを含みます。また、インストールフロッピーにもこれを 圧縮したカーネルが含まれますので、基本的にはインストーラでサポートしている デバイスも同じです。 fdc1 Toshiba Libretto External FDD wdc2, wdc3 GENERIC Flash ATA / ATA HDD / External HDD Adapter acd0 ATAPI CD-ROM wfd0 ATAPI LS120 Super Floppy Disk / ATAPI ZIP Drive sio2 - sio5 GENERIC FAX/Modem / ISDN / Digital Cellular PHS Data Commuincation Card / GPS Receiver FM-Radio Card / RS-232C ed0, ed1 National Semiconductor DS8390/WD83C690 based ethernet adapters. DL10019C Fast Ethernet controller support. ep0, ep1 3Com Etherlink III 3C589 (B/C/D) / 3Com Megahertz 3CXE589ET 3Com Fast Etherlink 3C574TX / 3Com Megahertz 3CCFEM556BI fe0, fe1 Fujitsu MB86960A/MB86965A based Ethernet cards. Contec C-NET(PC)C / Fujitsu FMV-J181, FMV-J182 (A) Hitachi HT-4840-11 / RATOC REX-5588, REX-R200, REX-R280 TDK LAK-CD021 (A/AX/BX) sn0, sn1 SMC's 9000 series of Ethernet adapters. Megahertz XJ10BT / MELCO LPC-TX / ONTEC LN-2221 Victor M-MOIL CARD wlp0, wlp1 NCR WaveLAN PCMCIA driver. NCR Wavelan PCMCIA / AT&T GIS Wavelan PCMCIA Digital RoamAbout/DS / Lucent Wavelan cnw0, cnw1 Netwave AirSurfer Wireless LAN Xircom CreditCard Netwave Adapter ux0 Am79C930 IEEE802.11 network card driver. ICOM UX-136 Wireless LAN Card / MELCO AIRCONNECT WLI-PCM NTT-EL SS Magic wireless LAN card Accton airLAN PCMCIA (WL2022) wi0 Lucent WaveLAN/IEEE 802.11 PCMCIA driver. Lucent WaveLAN/IEEE / NCR WaveLAN/IEEE (TURBO) Cabletron RoamAbout WaveLAN/IEEE clone xe0 Xircom CreditCard PCMCIA Ethernet adapters. scc0, scc1 IBM Smart Capture Card (II) hss0, hss1 Hitachi microcomputer speech synthesizer card joy0 IO DATA PCJOY gp0 National Instruments PCMCIA-GPIB Cards 3.2 インストーラ (/stand/syninstall) --- -------------------------------- PAO インストールフロッピーに含まれるインストーラは、PAO に関する機能拡張と FreeBSD 多国語化インストールフロッピー (http://www.jp.FreeBSD.org/BootAsia/) を統合したものとなっています。また、インストール終了後の設定項目も追加され ています。 PAO に関する機能拡張 o PC Card (Ethernet, CD-ROM, Modem etc.) 経由のインストールが可能 - pccardd, pccardc を組込み、pccardd を自動起動。 - 設定ツール uxctl, wicontrol を組み込み。 o Network Configuration メニューにおいて DHCP クライアントをサポート 「4.4 WIDE-DHCP クライアントの設定」を参照してください。 o PAO ディストリビューションを Distributions メニューに追加 - paobin PAO バイナリ配布ファイル - paosrc PAO ソース配布ファイル o PC Card 関連の設定メニューの改良 - pccard PC カード (PCMCIA) の有効化 (主にラップトップ) - pccard mem PC カードのメモリアドレス (有効化された場合) - pccard beep PC カード抜き挿し時のサウンドモード設定 - pccard ether 設定する PC カードイーサネットデバイスのリスト - pccard ifconfig PC カードネットワークインタフェースの設定 - dhcp client DHCP クライアントのパス設定 - dhcp flags DHCP クライアントのフラグ指定 o apmd(8) の設定を Startup メニューに追加 - apmd APM イベント監視デーモンを起動する - apmd flags apmd のフラグ指定 (有効化された場合) FreeBSD 標準インストーラからの追加ファイル /stand: I18N/ 多国語版インストーラメッセージとフォント dhcpc WIDE-DHCP クライアント help.ja_JP/ 日本語ドキュメントファイル help.ko_KR/ 韓国語ドキュメントファイル help.zh_TW/ 中文ドキュメントファイル pccardc PC Card の制御と情報表示ツール pccardd PC Card 管理デーモン uxctl Am79C930 IEEE802.11 PC Card 設定ツール wicontrol Lucent WaveLAN/IEEE 802.11 PC Card 設定ツール /stand/help: i18n.hlp.gz FreeBSD 多国語化インストールフロッピーに関するガイド pccard.hlp.gz この文書 /etc: pccard.conf PC Card データベース /dev: card[0-3] PC Card スロット bpf[0-3] Berkeley パケットフィルター (for dhcpc) 3.3 PAO バイナリ配布ファイル (paobin) --- --------------------------------- PAO 対応カーネル, userland, man pages, /etc 設定ファイルが入っています。 実行時に最低限必要となるものです。 drwxr-xr-x root/wheel 0 Oct 15 23:05 1999 paobin/ -rw-r--r-- root/wheel 240640 Oct 15 23:05 1999 paobin/paobin.aa -rw-r--r-- root/wheel 240640 Oct 15 23:05 1999 paobin/paobin.ab -rw-r--r-- root/wheel 240640 Oct 15 23:05 1999 paobin/paobin.ac -rw-r--r-- root/wheel 240640 Oct 15 23:05 1999 paobin/paobin.ad -rw-r--r-- root/wheel 240640 Oct 15 23:05 1999 paobin/paobin.ae -rw-r--r-- root/wheel 94763 Oct 15 23:05 1999 paobin/paobin.af -rw-r--r-- root/wheel 185 Oct 15 23:05 1999 paobin/paobin.inf -rwxr-xr-x toshi/wheel 519 Oct 3 03:07 1999 paobin/install.sh -rw-r--r-- root/wheel 3370 Oct 15 23:05 1999 paobin/paobin.mtree -rw-r--r-- root/wheel 464 Oct 15 23:05 1999 paobin/CHECKSUM.MD5 インストーラは、これらのファイルを / (ルートディレクトリ) を基準に展開し、 さらに /kernel を PAO 対応カーネル kernel.PAO で置き換えます。また、 install.sh を用いて手動でインストールした場合、以前のカーネルは /kernel.old にリネームされます。 kernel.PAO PAO 対応カーネル (PAO_ALL カーネル) etc: /etc 設定ファイル defaults/rc.conf デフォルトシステムコンフィギュレーション rc.pccard PC Card 起動スクリプト apmd.conf apmd 設定ファイル rc.i386 i386 依存の起動スクリプト pccard_ether PCMCIA Ethernet カードを挿入した時の処理スクリプト pccard_ether_remove PCMCIA Ethernet カードを除去した時の処理スクリプト rc.suspend APM Suspend イベントのコマンドファイル rc.resume APM Resume イベントのコマンドファイル pccard.conf PC Card データベース usr/sbin: userland cnwctl Netwave AirSurfer PC Card の状態表示/設定ツール pccardc PC Card の制御と情報表示ツール pccardd PC Card 管理デーモン wicontrol Lucent WaveLAN/IEEE 802.11 PC Card 設定ツール wlpconfig NCR WaveLAN PC Card パラメータ表示/設定ツール apmd APM イベント監視デーモン uxctl Am79C930 IEEE802.11 PC Card 設定ツール uxdump Am79C930 IEEE802.11 PC Card ダンプ表示ツール usr/share/man: man pages 3.4 PAO ソース配布ファイル (paosrc) --- ------------------------------- PAO で変更されたカーネルソース (/usr/src/sys) と、PAO ソースキットと同じ ものが入っています。 drwxr-xr-x root/wheel 0 Oct 15 23:05 1999 paosrc/ -rw-r--r-- root/wheel 240640 Oct 15 23:05 1999 paosrc/paosrc.aa -rw-r--r-- root/wheel 240640 Oct 15 23:05 1999 paosrc/paosrc.ab -rw-r--r-- root/wheel 240640 Oct 15 23:05 1999 paosrc/paosrc.ac -rw-r--r-- root/wheel 166687 Oct 15 23:05 1999 paosrc/paosrc.ad -rw-r--r-- root/wheel 128 Oct 15 23:05 1999 paosrc/paosrc.inf -rwxr-xr-x toshi/wheel 357 Oct 3 03:07 1999 paosrc/install.sh -rw-r--r-- root/wheel 23190 Oct 15 23:05 1999 paosrc/paosrc.mtree -rw-r--r-- root/wheel 362 Oct 15 23:05 1999 paosrc/CHECKSUM.MD5 これらの配布ファイルは /usr/src を基準に展開されます。/usr/src/sys には PAO で変更されたカーネルソースが上書きされ、/usr/src/PAO3 には PAO ソース キットが展開されます。カーネルソースは変更されたもの以外は含みませんので、 これを展開する前に src/ssys ディストリビューションを展開しておく必要があり ます。以下に PAO ソースキットの主な構成ファイルを示します。 PAO3: COPYRIGHT コピーライト History PAO の履歴 Makefile PAO ソースキットからのインストール用 Makefile Makefile.kit PAO ソースキットの作成用 Makefile PAO-FAQ{,.jp} PAO の質問と回答集 README{,.jp} README README.install{,.jp} PAO ソースキットからのインストール方法 README.apmd{,.jp} apmd リリースノート SUPPORTED.CARDS{,.jp} PC Card 動作情報 PAO3/sys: sys-pao.diff cvs tag=RELENG_3_3_0_RELEASE を基準としたカーネル ソースの PAO パッチ PAO3/etc: /etc 設定ファイル PAO3/ja-man: 日本語 man pages PAO3/usr.sbin: userland のソースファイル 4. FreeBSD のインストール方法 == ========================== まず初めに、基本的なことがらは INSTALL.TXT などを参照してください。ここで は PAO に関する要点のみ書いてあります。 PAO のインストールでは、FreeBSD 本体の配布ファイルと PAO 配布ファイルを分 けて考えることができます。システムを新規にインストールするのなら、PAO イン ストールフロッピーが良きに取り計らってくれます。あるいは、既に動作している システムに PAO を追加インストールする場合は、PAO インストールフロッピーを 使う方法以外に、配布ファイルに含まれる install.sh を使った方が手っ取り早い でしょう。 インストールメディアに、全ての配布ファイルが存在すれば問題は無いのですが、 通常の CD-ROM や FTP サイトには PAO 配布ファイルは存在しません。このため、 PAO 配布ファイルを別のメディアで用意する必要があります。 幸い最近では、雑誌などの付録 CD-ROM に PAO 配布ファイルも同時収録されてい るようです。このような CD-ROM が入手できれば特別な対処なしに PAO をインス トールできます。 上記のような恵まれた場合以外では、いくらかコツと注意が必要になります。 o 全ての配布ファイルを同じメディアに用意可能ならば、事前の準備で DOS パー ティションや FTP サーバをそのように設定します。 o どうしてもメディアを分割して配置せざるを得ない場合でも、PAO 配布ファイ ルを選択した状態でインストールを開始します。その後しばらくすると、「イ ンストールできない配布ファイルがある」というエラーメッセージが表示され ますが、そのまま終了せず、PAO 配布ファイルの置いてあるメディアに変更し てインストールを続行します。 - 以前のこのドキュメントでは、「エラーメッセージが表示されないよう初めに PAO 配布ファイルを選択解除しておく」と記述してありましたが、この方法で は /kernel が PAO 対応カーネルに置き換えられないという問題がありました。 このような時の対処法は「3.1 PAO 対応カーネル (PAO_ALL カーネル)」を参照 してください。 これ以降、いくつかの典型的なケースについて説明しますが、その前にまずインス トールフロッピーを作成します。 4.1 DOS パーティションからインストールする場合 --- ------------------------------------------ これからインストールを行なうマシンに、DOS パーティションが既にあるか、また は作成するつもりなら、DOS パーティションからのインストールがお薦めです。こ の方法なら、サブノートの樣に CD-ROM ドライブや Ethernet カードなどが内蔵さ れてなかったり、FreeBSD でサポートされてないデバイスしか無いマシンなどでも 使えます。 まず準備ですが、必要な配布ファイルを C:\FREEBSD ディレクトリにコピーするだ けです。少くとも、基本バイナリ (bin) と PAO バイナリ (paobin) の配布ファイ ルは必須です。また、PAO ソース (paosrc) と FreeBSD カーネルソース (ssys) は二つで一組です。 C:\FREEBSD\BIN\ 基本バイナリ C:\FREEBSD\SRC\SSYS.* FreeBSD カーネルソース ... C:\FREEBSD\PAOBIN\ PAO バイナリ C:\FREEBSD\PAOSRC\ PAO ソース PAO 配布ファイルは paodist.tar を tar で展開しても良いでしょう。 C:\FREEBSD\> tar xvf paodist.tar あとはインストーラを起動して、インストールメディアに DOS を選ぶだけです。 4.2 FTP や NFS サーバからインストールする場合 --- ----------------------------------------- ネットワークからのインストールにおいて、PAO で強化された機能が最も発揮され ます。特に、PC Card タイプのモデムカードや Ethernet カードのサポート強化や、 DHCP クライアントによる IP アドレスの動的割り当て、また PC Card のホットプ ラグもサポートしています。 もし、LAN で接続された別のマシンが自由に使えるなら、これをサーバに仕立てる ことで後の作業が楽になります。設定のポイントは、PAO 配布ファイルも他の配布 ファイルと同じディレクトリにコピーしておくことです。例えば、/var/spool/ftp を Anonymous FTP のホームディレクトリ、/cdrom に FreeBSD 配布 CD-ROM がマ ウントされているとして、 # cp -pr /cdrom/3.3-RELEASE /var/spool/ftp # tar xvf paodist.tar -C /var/spool/ftp/3.3-RELEASE あとは以下の行をパスワードファイルに登録すれば、FTP サーバの出来上がりです。 ftp:*:99:99::0:0:FTP:/var/spool/ftp:/sbin/nologin また、これを NFS サーバに設定するには、leaf.foo.bar がクライアントとなるホ スト名、/var/spool/ftp/3.3-RELEASE が /var パーティションに含まれるとした とき、以下のような行を /etc/exports に追加します。 /var -ro -alldirs leaf.foo.bar お分りのように、NFS サーバの設定はこれだけでは済みません。良く分らなければ 無理せず FTP を使ったインストールで満足しましょう。 さて準備も整ったら、いよいよインストールを始めます。上記のように独自サーバ を立ち上げてあれば、インストールメディアの選択で、FTP, NFS それぞれ以下の ように指定します。 Media -> FTP or FTP Passive -> URL -> ftp:/// Media -> NFS -> :/var/spool/ftp そうではなくインターネットの FTP サイトからインストールするのなら、まず、 FreeBSD 本体を世界中に散らばるミラーサイトから、残りの PAO 配布ファイルの 部分を ftp://daemon.jp.FreeBSD.org/pub/FreeBSD-jp/PAO/flp/ からインストー ルすることになります。この場合、インストールを開始してしばらくすると PAO 配布ファイル (paobin, paosrc) を展開しようとして、 「以下の配布ファイルを展開できませんでした。これはおそらく、選択した インストールメディアにこれらが存在しないためでしょう。」 というエラーメッセージが表示されるので、そのまま終了せず、次のようにメディ アを切り替えてインストールを続行します。 FTP or FTP Passive -> URL -> ftp://daemon.jp.FreeBSD.org/pub/FreeBSD-jp/PAO/flp/ または、PAO のミラーサイトを URL で指定します。 FTP or FTP Passive -> URL -> ftp:///<パス> 4.3 CD-ROM から FreeBSD を、DOS や FTP から PAO をインストール --- ---------------------------------------------------------- これまで説明してきた方法では、インストールに際し比較的リソースを要求します。 そこで FreeBSD 配布 CD-ROM を有効活用し、FreeBSD 本体を CD-ROM から、PAO 配布ファイルを別のメディアからインストールすることにします。 o ネットワークを併用するなら、CD-ROM と同時に使える必要があります。要する に、PC Card スロットが 1 つで、両方とも PC Card タイプのものはダメです。 o DOS パーティションを併用するなら、「4.1 DOS パーティションからインストー ルする場合」を参考に PAO 配布ファイルを準備してください。 C:\FREEBSD\PAOBIN\ PAO バイナリ C:\FREEBSD\PAOSRC\ PAO ソース インストール手順は、最初に CD-ROM から配布ファイルを展開していきますが、 PAO 配布ファイル (paobin, paosrc) を展開しようとして、 「以下の配布ファイルを展開できませんでした。これはおそらく、選択した インストールメディアにこれらが存在しないためでしょう。」 というエラーメッセージが表示されるので、そのまま終了せず、メディアを DOS または FTP に切り替えてインストールを続行します。 FTP or FTP Passive -> URL -> ftp://daemon.jp.FreeBSD.org/pub/FreeBSD-jp/PAO/flp/ 4.4 WIDE-DHCP クライアントの設定 --- ---------------------------- 今までの FreeBSD では DHCP が必須の環境ではインストールに苦労しまし た。次のリリースからは isc-dhcp がインストーラでも使えるようになるの でしょうが、暫定的に wide-dhcp を使えるようにしてみました。 +-----------------------------------------------------+ | Host: Domain: | | +--------------------+ +-----------------+ | | |hoehoe | | | | | +--------------------+ +-----------------+ | | Gateway: Name server: | | +----------------+ +-----------------+ | | | | | | | | +----------------+ +-----------------+ | | +------ Configuration for Interface xx0 ----+ | | | IP Address: Netmask: | | | | +-----------------+ +----------------+ | | | | |DHCP | | | | | | | +-----------------+ +----------------+ | | | | Extra options to ifconfig: | | | | +------------------------------+ | | | | |-r | | | | | +------------------------------+ | | | | | | | | +------+ +--------+ | | | | | OK | | CANCEL | | | | | +------+ +--------+ | | | +-------------------------------------------+ | +-----------------------------------------------------+ 必須: Host フィールド、IP Address には "DHCP"、Extra options to ifconfig フィールドには ifconfig のオプションの代りに dhcpc オプションを指定 します。現在 dhcpc で有効なオプションは、 -r : /etc/resolv.conf を上書きします。 -n : hostname を再設定します。 必要に応じて: Domain, Name Server、 ただし、dhcpc へ -r を指定したときは上書きされます。 無視されるもの: Gateway, Netmask *注意点* インストールを終了して再起動する前に、packages から DHCP クライアン トを入れてください。もし忘れてしまった場合は /stand/dhcpc を使って ください。 5. インストール終了後 == ================== もし PC Card コントローラのスクラッチメモリや、使用禁止にしたい IRQ を 指定する場合は、以下のパラメータを手動で変更して下さい (すみません、 自動的にはできません)。 PC Card コントローラメモリ → /etc/rc.conf の "pccardmem" PC Card に割り当て禁止する IRQ → /etc/pccard.conf の "ignirq" PAO の FAQ リストは http://www.jp.FreeBSD.org/PAO/index.html#faq にあ ります。我々に質問をぶつける前に、これをお読み下さい。多くの典型的な 質問がこのファイルの中で回答されています。 PAO パッケージおよび情報は、PAO Web ページ (http://www.jp.FreeBSD.org/PAO/) と PAO anonymous FTP サーバ (ftp://daemon.jp.FreeBSD.org/pub/FreeBSD-jp/PAO/) において見つけること ができるでしょう。 FreeBSD でモーバイルコンピューティングをお楽しみ下さい! # 3〜4.セクション追加: 新井利彦 $Id: pccard.hlp,v 1.5 1999/10/23 17:57:15 toshi Exp $